2012年09月

2012年09月18日 00:00

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ある中学校の生徒さん(岡田ユキの講義を受けた)から熱心な質問が来ました。
岡田ユキがこの質問に回答した内容は一般の方はもちろん、学校や施設等でこのような問題に携わっている皆さんに知っていただきたいと思い、ブログに掲載させて頂きます。
 
 <質問(1)><A>虐待されず、施設で親なしで育つことと、<B>虐待される可能性がありながらも、親と共に暮らすことのどちらが幸せなのでしょうか?
 
<答え>勿論<A>の方が幸せです。
 
<解説>虐待をする親は、一般の常識では考えられない、自己中心的な外見は大人に見えますが、内面は子供です。
「いくら子供の時から赤ちゃんと接していても、母性(母性愛)が育ってないと子育ては難しい!」ということです。
女性は、女から妻へ、そして妻から母へと三段階に肉体と内面がバランスよく成長してはじめて、良き「母親」になれるのです。
良き母とは、子供の事を中心に考えて、物事を行う人です。
ところが、いくら年齢を重ねても、女の子の内面のままで、成長できない人も世の中には多くいます。
そのような人は、自分が中心で、子供に対して常に「めんどくさい」「腹立たしい」「重荷」だと考えています。
自分がお腹を痛めて産んだものの、手がかかること、一つ一つ時間をかけて物事を教えること(人を育てる)が大嫌いなのです。
だからこそ平気で「あなたなんか産むんじゃなかった!」「生まれてきたあなたが悪い!」「お母さんに迷惑ばかりかけないでよ!」というような言葉を簡単に使います。
それらがいつしか習慣となり、言葉の暴力や肉体的な暴力となって積み重なった結果「虐待」ということになるのです。
また、その虐待には必ず悪い親をサポートする存在がいます。
それが、祖父母、おじ、おば、兄弟、姉妹、いとこ達というように、親族で結束されて、一人をいじめます。
集団でのいじめというところでは、クラスのいじめと同じ、集団心理がはたらくのです。
 
★では、いじめの対象となる子供は、何歳ごろからいじめられるのでしょうか?
生まれて間もなく(産院から自宅に帰宅後数日から)始まります。
だからこそ、一日も早く悪い環境から離れなければ、その子の一生は「地獄」となるのです。
クラスのいじめで自殺する子が多い中、虐待(親族によるいじめ)を受ける子供は幼すぎているために、「自殺」ということすら知らないので、この生き地獄のような環境に慣れるしかないということです。
 
★では、虐待を受ける人とは本当はどのような人なのか?
本人と全く無縁(無関係の人間関係)のところで、自分のせいにされてしまっている、可愛そうな人。
「“自分とは関係ないのに巻き込まれているだけの人”」だということです。
生き地獄のような環境に慣れるには、「イエスマン」になるしかありません。
なぜならは、逆らえばそれ以上に、体罰(言葉の暴力、肉体的暴力、性的暴力、ネグレクト)が待っているからです。
幼い子供がその様な家庭で生きて行くための手段として、「親を理解すること」「親を守ること」「親の敵を取ること」「親の責任を取ること」を学びます。
それが、アダルトチルドレン(AC)化するということなのです。
悪い人達のために自分を犠牲にして、悪い人の願いを叶え、守る訳ですから、ACとは悪いことではなく、最高に良い人という意味なのです。
 
★まとめ
「三つ子の魂百まで」とあるように、だからこそ、虐待を受けている子供は、自分からは抜け出せないのです。
幼い子供に関しては、問題に気が付いた大人が、救う(親と離す)しか手段はないのです。
年齢が低いほど、虐待による悪影響も少ないので、なるべくならば幼少期に親と離れられれば、その子の苦しみ(身に付いている悪い思考行動パターン)も軽くて済みます。
 
<質問(2)>虐待が発見された場合、施設などで保護される場合があるといいますが、施設で保護され暮らすことは、子どもにとって本当に幸せなことなのでしょうか?
 
<答え>施設にもよると思います。正直幸せか?は、個人差があると思います。
<解説>私の関わっている施設の事例でお話すると、今年で創立100年になる養護施設では、福祉関係の大学を卒業後、新卒で入社、グループホームで子育てをするというようなところでは、両親の変わりを若い職員が務めています。
一部屋8人前後(年齢は4歳児~18歳まで)が、個別に部屋をもらい、広いリビング、キッチン、バス、トイレ、職員の部屋、冷暖房、床暖が完備された最新式マンション型の住居空間で生活を共にしています。
子供たちに、彼らのことをお兄さん、お姉さんと呼ばせて、彼らが日々子供たちの親代わりとなって世話をしています。
その養護施設は、国からも手本のような施設として、議員や大臣たちが見学に訪れたり、国宝級の芸術家達の鑑賞会が定期的に行われたり、寄付で別荘が数軒あったり、夏には敷地内の川をせき止めて、カヌー遊びをしたり、至れり尽くせりの内容になっています。
最近その施設側から相談を受けていることがあります。
18歳を過ぎても自立できない子供たちのグループホームを次々と作らなければいけないので、困っています。
どうすれば彼らが自立をして社会に出て行けるのか?ということです。
 
★子供たちが自立できない第1の問題(施設職員側から)
施設職員が子供たちを可愛そうな人と見て、同情心が強くなっているところ。
だからこそ、物や環境を必要以上に与えてしまったところ。
施設の職員の中には、他人に対する常識的な気配りが全くできないという人も多く、福祉関係や心理関係に関心を持つ人の中には自分自身が上手く社会になじめない人が多い。
そんな彼らは、「自分は可愛そうな子供たちを助けている偉い人間なんだ!」と思い込んでしまいがちで、子供たちの自立を阻み、必要以上に甘やかし、自分のもとにつなぎとめようとする職員も少なからずいる。
 
★子供たちが自立できない第2の問題(寄付をする側から)
人のために何か良いことをしたいが、自分で事を起こすのがめんどくさいために、名のある施設に寄付しておけば、間違いがないと思いこんでいる人が多い。
そうすることによって、自分が凄く良いことをしたように思い、幸福感に浸れる。
罪悪感のあるお金の稼ぎ方をしているために、罪滅ぼしのために寄付をする。
 
★子供たちが自立できない第3の問題(施設の子供側から)
自分は虐待を受けた可愛そうな人だから、施設に頼っていれば助けてくれる。
与えられる事や、甘えることに慣れてしまったために、自立の仕方が分からない。
 
まとめ
中には上手くいっている施設もあると思いますが、実際はいろんな問題を抱えていると思います。
施設に入所する子供は初めは悲惨な環境から助けられた、可愛そうな子供でしょうが、年数が経つにつれてある程度施設になじんだ時点で、個別に社会の厳しさを教えて行くことが必要だと思います。
前述の施設に入所した子供の多くは、「将来の夢や目的」を持つパワーを、与えられすぎた環境に置かれてしまうために、失くしています。
施設の運営上寄付というものは欠かせないでしょうが、子供たちにある程度の不便さ、小さな目標の達成感の積み重ねを与えること、お金を得ることの難しさ、アルバイトなどで施設以外の人間関係を学ぶ必要があると思います。
施設内では、自立に向けての職業訓練が必要だと思います。
与えることを教えるのではなく、大学への学費を自分の力で稼いで、進学することなどが今後の大きな課題となるでしょう。
施設職員にその様な自覚が芽生えれば、この施設で育った子供たちの将来も大きく変わり、個人が望む、幸せも手に入るのではないでしょうか?
特に施設職員には、子供たちは自分たちの気持ちを満たす道具ではないということを、心に刻んで欲しいと思います。
それができない限り、虐待している親と生活しても、施設に保護されても、子供にとっては、さほど変わりがないからです。
 
また、里親制度というのもありますが、ヤンキー先生こと義家弘介氏の事例や遊魚 静(ゆな・しずか)こと鈴池 静容疑者の事例でもあるように、
保護されて、里親のもとに託されても悲惨な生活を送る子供もいます。
里親関係で明らかにされている虐待も、ほんの一部です。
良識のある善意で里親をされる方も数多い中、一部の里親から虐待を受けている里子もいます。
事実、里親家庭でのネグレクト(育児放棄)、身体的虐待行為、わいせつ行為、
子供のためのお金の使い込み、虐待死などがあり報告・報道されています。
 
ある高校生の事例
<フォーラム会場参加者からの質問>
相談者 「私の孫(高校3年男子)の件。―――“父親が僕に(息子であり高3の孫)に対して暴力を振う”と、去年5月私のところへ相談にきた。その時から家には戻らず学校の先生に相談した結果、養護施設に自分から入所を希望し、現在新宿区の養護施設に一人入所しているのだが・・・」
岡田   「仮に、相談に来られたお孫さんと、祖父母三人で同居されることは不可能ですか!?」
相談者  「(頷く)」
岡田   「そうですか! お孫さんに起こった出来事は良くない事ですが、暴力を振う父親から離れたというのは、結果としてはお互いにとって良かったと思います。父親が子どもに暴力を振っていた背景は、自分の子どもに対して甘えていたのですね」
相談者  「なるほどですね!―――実は孫が5歳の時、孫の両親は夫婦喧嘩をして母親が子どもをおいて家を出ていった。父親は育てていたが、それから一年も経たないうちに父親(私の息子)は別の女性と結婚し、子どもが生まれた。息子は(孫の父親)不規則時間帯の仕事に加え、不節制な食事とアルコールの飲み過ぎで糖尿病(現在透析中)の身となった。―――たまに私が家の中を清掃しに行っていたが、“うるさいから出ていけ!”などと言われていた。その後は要件があればメールかFAXで済ませていたが、送られてくるFAXには“死ね!悪女”とか書かれていた・・・。別に私は息子に世話になっている訳でもないからどうでもいいのだけれど、偶然新宿区の広報紙でこのフォーラムのことを知り、足を運んだところだった」
岡田   「御聞きしたこの件は、お母様が息子さんの家庭に関わる必要はないと思います! お孫さんは行政の養護施設で生活された方がよい事例です」
相談者  「息子は私に対して孫に会わせてと言ってくるが、施設側は本人(孫)の意思以外は認められないということで、息子との面談を拒否している状態だが・・・」
「孫は私にも会いたくないと言ってるらしく、会ってくれません」
岡田   「当然です! お孫さんもご自分で入所を希望された位ですから、その判断はつくはず。施設側の処置に従って下さい」
相談者  「(大きく頷いて)」
岡田   「Aさんは自分のとった行動が正しかったのか?ということを本日、確認されにきたのでしょうか?」
相談者  「はい」
岡田   「間違いないので、安心してください。後は、時が全てを解決してゆきます。私の場合もそうでしたから」
 
<質問(3)>「虐待を受けた子供たちにとって、親と離れることは本当に幸せなのか。」
 
<答え>前述の内容でご理解いただけたと思いますが、親と離れた後の人間関係によると思います。
<解説>全ては、人ですから、良い人と出会えれば、幸せになれるでしょう。
ただ、幸せの定義は、人それぞれに違うと思います。
特に、虐待を体験した人(被虐待体験者)は、何が「幸せというものなのか?」まったく分かっていません。
 
★他人から優しい言葉をかけられることに、「幸せ」を感じて、これで死んでもいいとまで思う時があります。
年齢は関係なしに、その言葉をかけてもらうまで、誰にも優しい言葉をかけられたことがなかったからです。
こんな些細なことで?と、一般の人からは、想像できないことだと思います。
 
★自分を知って(自分は悪い人間ではなかった!)「幸せ」を感じます。
被虐体験者は、何が苦しいのか分からない苦しみと、常にポッカリ感(胸に穴があいているような感覚が常にあります。実際には穴などないのですが)を持っています。
私と出会い、前述ご説明したように、虐待の原因は自分が悪いからではなく、親や身内が悪く、自分が無縁だったことを知ります。
私のカウンセリングを受けるまでは、何が起きても全て、自分のせいだと思い込んでしまっている人の間違った思考行動パターンを私の事例を持って教え、「あなたは最高に良い人であなたの周りの人が悪いだけ!」「ACは悲観するものではなく、才能ですから活かしましょう!」と伝えます。
次に、苦しみの原因(親や身内)への防御法と、自分の悪い思考行動パターンの改善策を具体的に教えます。
その時点で、苦しみは消え、ポッカリ感もなくなります。
また、同じ体験者で乗り越え、現在の私の姿を見て(彼らの将来の姿でもあるので)自分に、自信が持てるようになります。
何よりも、同じ体験を持つ私の存在を知ったことに、幸せを感じてもらえます。
なぜならば、虐待の体験は、体験した人でないと絶対に理解できない問題だからです。
 
★幸せになることに慣れるために、常にステップアップを望み、手に入れ、最後は社会貢献に幸せを感じます。
幼少期から親のために尽くすことに慣らされてきた被虐体験者は、直接自分のために手に入れられるものには、興味もなく、幸せも感じません。
むしろ、他人の喜びを自分の喜びとし、他人に尽くし感謝されることを「幸せ」と感じます。
ですから、多くの被虐体験者は、小さな家庭で幸せをつかむということは、無縁の部分があり、私のように、社会貢献していることが「幸せ」だと感じてしまいます。
自分の幸せよりも親の幸せ、しいては他人の幸せを望む事は、「三つ子の魂百まで」がインプットされてしまっているからです。
 
<質問(4)>つらい経験を思い出させてしまいましたら、すみません。でも、どうしても岡田さんのご意見を伺いたいと思います。
私の場合、被虐体験は辛い体験ではありませんので、安心してくださいね!
むしろ、この体験があったからこそ、その体験を生かして多くの方に幸せを感じていただいています。
現在は、このような体験をさせてくれた両親、兄弟に感謝しています。
ここまで来ることが、被虐体験者の最高にして最後に手に入れる、「幸せ」というものでしょう。
いまだ多くの被虐体験で苦しむ人に、一日も早くここまでの幸せを手に入れて欲しいと思います。

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